私は39週6日目で第一子を出産しました。
現在住んでいるのは東南アジアでは、帝王切開や陣痛促進剤を利用した予定分娩を強く推奨する病院が多いと感じます。
病院側が帝王切開を進める背景にはいくつか理由があります。
- より高額な費用を請求できる
- 分娩時間を短縮でき、病院側のスケジュール管理がしやすい
- 経膣分娩に比べ、母体・胎児ともに一部のリスクを軽減できる
こうした事情から、自然分娩を希望しても医師に説得されて帝王切開に切り替えるケースが多い印象です。
私は当初「無痛分娩(麻酔を使って痛みを和らげながらの経膣分娩)」を予定していましたが、結果的には
卵膜剥離(子宮ぐりぐり) → 出血(おしるし) → 陣痛 → 破水 → 無痛分娩 → 帝王切開
と、フルコースを体験することになりました。
日本でも近年、無痛分娩を希望する人は増えてきていますが、海外に比べるとまだ一般的ではありません。これから出産を迎える方に向けて、私の経験を少しシェアしたいと思います。
卵膜剥離(子宮ぐりぐり)
国によって対応は異なりますが、私が住むベトナムでは出産予定日(40週)を迎えても子宮口が開かない場合やお産の兆候がない場合、ほぼ自動的に陣痛促進剤での分娩を推奨されます。
ただ、その前に「最後の一手」として試みるのが卵膜剥離(子宮ぐりぐり)です。
卵膜剥離とは?
産婦人科医が子宮頸部に指を入れ、円を描くように動かすことで卵膜を子宮壁からはがし、人工的に陣痛を誘発する処置です。
私は39週5日目の健診でこの処置を受けました。
「めちゃくちゃ痛い!」という体験談も多く聞いていたので身構えましたが、「ちょっと居心地が悪い」程度で済みました。処置後、先生からは「1〜2日以内に陣痛が来るといいね」と言われ、そのまま帰宅。
海外出産で確認しておきたいこと
海外で出産するなら病院の方針を事前に徹底的に確認しておくことの重要性です。
とくにチェックしておきたいのは以下のポイントです。
- 自然分娩 vs. 帝王切開の方針 → 病院がどちらを「標準」としているか確認。自然分娩を希望するなら、医師にバースプランをしっかりと共有し合意しておかないと予定分娩に誘導されやすい。
- 無痛分娩の対応有無と費用 → 日本だと無痛分娩が可能な病院は限られています。麻酔科医が常駐しているか、追加費用はいくらかも要確認。
- 陣痛促進剤の使用基準 → 何週目から、どの条件で使用するかを確認しておくと安心。
- 緊急帝王切開の対応体制 → 麻酔・小児科医・NICU(新生児集中治療室)の有無を事前に確認しておくこと。
- 同意書の準備 → 海外ではサインひとつで帝王切開に進むこともあるため、言語サポート(通訳・配偶者同伴など)も重要。
こうした情報を把握しておくだけで、いざというときの心の準備が全く違います。
出血(おしるし)
卵膜剥離の処置をしてもらった翌日(39週6日目)の早朝4時頃に目が覚め、トイレに行ったところ、いわゆるおしるしの出血と若干腹部の痛みありました。
出血は生理4日目程度の軽いもの。
おしるしがあってからすぐに陣痛・お産に進む人もいれば、数週間特に変化なしという人もいるようです。私も軽い出血のみだったので、早朝4時の段階では特に何の対処もせず普通に過ごす事にしました。
※出血量が多い場合はすぐに病院に連絡を!
陣痛
同日の朝8時頃にパートナーへおしるしの出血があったよ〜と話をしていたところ、若干あった腹部痛みが定期的な強い痛みへ移行。
自宅から病院までの距離はタクシーで15分程度ということや、病院からは陣痛の間隔が5分おきになった段階で病院にきてくれと案内されていたため、「陣痛タイマー by ぴよログ」というアプリで陣痛の間隔を測定開始(日本の場合は10分間隔)。
そして、測定の結果なんと午前10時には陣痛の間隔が3分半おきになり、すぐに病院に向かう事になりました。
噂には聞いていましたが、定期的にやってくる逃げ場のない陣痛の痛みは・・・つらかったです。
病院選びの際に、車で40分かかる病院と15分で行ける病院で迷いましたが(前者の方が英語が通じやすいというメリットがあった)、この時心から近い病院にしてよかったなと。
ただ、「陣痛→病院へ!→すぐ出産」みたいなのはドラマの世界。
本格的な陣痛が始まってから30時間以上かかる人もいます。
なので実際は病院にいく前に、シャワーや食事を済ませて・・・と想像以上に冷静な感じでした。
陣痛バッグが行方不明
ここで少しプチトラブルが・・・
事前に準備していた陣痛バッグと入院バッグを、何を思ったのかパートナーが中身を全部だして、一つのバッグにまとめてしまいました。
一緒に病院に引率するので、一つの方が運びやすいだろう・・・と良かれと思ってのことだったんですが、陣痛バッグと入院バッグは絶対に分けて病院まで持参しましょう。
なぜかというと病院によって分娩室と出産後の入院室は同じフロアにない場合も多く、特に分娩室に関してはエリアに入るためにセキュリティカードなどが必要となり簡単に出入りできないことも。
せっかく用途ごとで分けていた中身を、一つにまとてしまい、更にそのバッグを分娩室ではなく出産後の入院室へ持っていってしまった夫。
分娩室で欲しいもの(スポーツ飲料水やテニスボール、エナジーボールなど)がすぐにないという事態になりました。
陣痛がはじまり、いざ!とうなるとパニックになってしまうこともあると思いますが、この辺りは冷静に妊婦さんが指示を出してあげた方が良いなと後で反省。
破水
そして、「さあ病院へ出発だ!」というタイミングで破水も…。
破水は、テレビドラマで見るように大量の水が一気にどしゃーっと出る人もいれば、そうでない人もいます。必ずしも分かりやすいとは限らず、自己判断が難しいケースが多いのです。
私の場合は、暖かい水がじょろじょろ〜と少し流れているような感覚で、「あきらかに尿ではないけれど、多分破水だろうな」という程度でした。
特に初産の場合、破水かどうかの判断は自分では難しいので、「あれ?」と思ったら勝手に判断せず、まずは病院へ連絡してみましょう。
👉 Tips(破水の確認で役立つこと)
- 下着やナプキンを清潔な状態に替え、漏れた液体の色や匂いを確認(透明や薄いピンクが多いが、緑や茶色の場合は要注意)。
- 出血が混ざっている場合はすぐに病院へ連絡。
- 出先や移動中に備えて、大きめのナプキンや防水シートをマタニティバッグに入れておくと安心。
病院に到着後、医師が破水を確認し、そのまま分娩室へ向かうことに。
無痛分娩の麻酔投入
もともと無痛分娩を予定していたため、破水と陣痛の間隔が3分ごとになったタイミングで分娩台に移動し、硬膜外麻酔を投入しました。
通常、出産の痛みは子宮の収縮や産道の広がりによって起こり、脊髄神経を通って脳に伝達されます。硬膜外麻酔法は、背中から腰にかけて脊髄の近く(硬膜外腔)に細いカテーテルを挿入し、そこから少量ずつ麻酔を注入することで痛みを和らげる方法です。アメリカでは7割以上が無痛分娩を選択すると言われています。
カテーテル挿入は多少の痛みがあると説明を受けましたが、陣痛の痛みの方が強烈で、私は全く気になりませんでした。
日本では硬膜外麻酔法が一般的ではない理由としては、
- 「産みの苦しみを経験することで子供への愛情が深まる」という文化的背景
- 小さな産院では麻酔科医が常駐していないこと が大きいようです。
無痛分娩でも完全に痛みがゼロになるとは限りませんが、長時間に及ぶ陣痛の苦しみを大幅に軽減できるのは大きなメリットです。
麻酔を入れて15分ほどで痛みがほぼ消え、腰から下の感覚は鈍るものの、足を動かすことは可能でした。追加の麻酔は45分ごとに投入され、うまくいけばそのまま出産を迎えられます。
実際に麻酔を投入してすぐに痛みが薄れました。あまりに余裕が出てしまって「小腹すいたな〜」と分娩台でデリバリー丼を食べる余裕すらありました(笑)。
無痛分娩での大失敗
ただし、無痛分娩にも注意点があります。
まず、麻酔を投入すると運動神経が弱まり、転倒防止のため歩けなくなります。そのため、子宮口がなかなか開かない場合はベッドでひたすら待つしかないのです。
また、副作用として 発熱、頭痛、血圧低下、吐き気、嘔吐 などが起こる可能性があります。
私の場合、子宮口がわずか3cmの時点で麻酔を入れてしまったため、その後の進行が遅くなることに。
午後12時半に麻酔を投入しそこからベットで待つことに。17時になっても3〜4cm程度しか開かず…。
さらに副作用で全身に悪寒が走り、微熱も出てしまいました。そうしているうちに胎児の心拍にも異変が見られ、最終的に帝王切開に移行することに。
👉 Tips(無痛分娩を選ぶ際に確認したいこと)
- 子宮口がどの程度開いてから麻酔を投入できるか(病院によってルールが違う)。
- 事前のアレルギーチャックの有無、副作用が出たときの対応方法(発熱・血圧低下など)。
- 帝王切開に切り替わる場合の流れや費用。
- 海外出産の場合、麻酔科医が常駐しているか、24時間対応できるか を事前に確認。
無痛分娩を希望する場合は、メリットだけでなくデメリットやリスクも理解し、納得した上で選択することがとても大切です。
帝王切開
18時時点でも子宮口は3-4cm程度のまま。
今回、病院選びの際に特に驚いたのは、日本の多くの病院と違い、分娩室の利用が「最大12時間」と時間制限があることでした。12時間を超えると追加料金が発生し、場合によっては分娩室の空きがなく利用できないケースもあるそうです。
当初、経膣分娩を望んでいましたが、微熱が下がらない上、胎児の心拍数が170を超えてしまい、医師から「胎児の心拍数が下がらなければ緊急帝王切開へ移行です」と案内を受けました。
ベトナムではなんらかのリスクがみつかると「帝王切開を勧められやすい」という話を聞いていたので、本当に必要なのか正直疑心暗鬼に。
とはいえ、医師と一緒に胎児のモニタリングを確認すると、心拍が不安定で胎動も弱まっていることが明らかに。
自然分娩を待つ場合は数時間以上かかる可能性があり、その間に胎児が危険にさらされるリスクを考慮し、帝王切開に同意することにしました。
👉 Tips(帝王切開を検討するときの確認ポイント)
- 帝王切開の判断基準(心拍数・母体の状態)を自分でもモニターで確認できるか。
- 「緊急帝王切開」と言われたとき、同意前に主治医からリスクと代替案を説明してもらえるか。
- 海外出産の場合、追加費用や保険の適用範囲を事前に確認しておくと安心。
- パートナーが同席できるかどうか(国や病院によって規定が異なる)。
海外の病院では帝王切開に変更になると別途費用が発生します。手術に移行する前に「費用が払えるのか」を確認するため、デポジットの支払いや保険関係の資料提出が求められます(確認できないと手術にすすまない)。緊急事態に備え現金、カード、保険は必ず常備!
帝王切開後の心の葛藤
帝王切開は医学的に必要だからこそ行われるものですが、望んでいなかったのに帝王切開になった場合、心にもやっとした感情が残ることがあります。
私自身もそうでした。
子どもが元気に生まれてきてくれたことは何より幸せなこと。頭では「それで十分」とわかっていても、心の奥底では複雑な気持ちがありました。
ただいわゆる「お腹を痛めて産んだ」という感覚がないこと、帝王切開になると次回以降も自然分娩を選びにくいこと――。それらが「女性として大切な経験を奪われてしまった」「母としても一大仕事に失敗した」というような思いにつながったのかもしれません。
術後は「もし無痛分娩の麻酔を早く打たなければ自然分娩に移行できたのか」「病院に行くタイミングをもう少し待っていれば違ったのか」と、自分を責めるような思考がぐるぐる回ることもありました。出産は人生にそう何度もない大きな出来事だからこそ、「もっとこうできたのでは」という思いは簡単には消えません。
👉 Tips(帝王切開後の心のケア)
- 出産後の複雑な感情は「産後うつ」の一因になることもあるので、抱え込まずに周囲へシェアする。
- 同じように帝王切開を経験したママの体験談を読むと、後ろめたさをなぜか感じるのは自分だけではないと安心できる。
- 医師や助産師に「なぜ帝王切開が必要だったのか」を改めて説明してもらうと納得感が増す。
- 「自然分娩できなかった」ではなく「子どもの命を守るための最善の方法だった」と捉え直す視点を持つ。
ただ、出産は命に関わる一大イベント。だからこそ、心から納得できる選択肢を選べるように、事前に医師と十分に話し合い、信頼できるサポート体制を築いておくことがとても大切だと実感しました。
お子の誕生(日本と海外の違い)
手術はスムーズに進み、20時にオペ室に入り、20時32分には無事に我が子が誕生!
病院到着からわずか8時間での出産となりました。
ただし、日本でよく聞く「すぐに母子の感動の対面」というシーンは少し違いました。
というのは、帝王切開の場合、麻酔の影響ですぐには動けなかったため、切開部分の縫合が終わり麻酔がきれるまで約2時間は隔離。赤ちゃんは先に各種検査を受け、問題なしと確認されてからパパのもとへ。
麻酔が切れた22時半頃、ようやく赤ちゃんが私のもとへ連れられ、初めて母乳をあげることができました。生まれたばかりなのに小さな体で必死に乳首を探す姿は、出産の大変さを一瞬で忘れさせてくれるほど愛おしかったです。
23時にはパパと合流し、ようやく家族3人で病室へ。
👉 Tips(帝王切開後すぐに役立つこと)
- 産後すぐは体を動かせないので、パートナーに「赤ちゃんのお世話サポート」をお願いする準備を。
- 海外では「母子同室」が基本の病院も多いので、体力的にきつい場合はナースステーションに一時的に預けられるか確認しておく。
- すぐに母乳が必要量でるとは限らないので粉ミルクもあると安心。
30歳後半で出産を体験してみての感想
実際に 無痛分娩から帝王切開への切り替え を経験してみて感じたことをまとめます。
帝王切開について
帝王切開にはもちろんデメリットがあります。傷の治りに時間がかかる、傷跡が残る、術後の痛みがあるなどは避けられません。
ただ一方で、経膣分娩に比べて出産にかかる時間が短いこと、会陰切開など膣まわりにダメージがないことといったメリットもあります。
唯一、慎重に考えるべきだと思ったのは 次の妊活のタイミング です。
私のように30代後半で第一子を出産した場合、第二子を希望しても、帝王切開後は子宮破裂などのリスクを避けるために 最低1年は妊活を控える必要 があります。さらに、子宮の傷の治り具合によっては不妊につながるケースもあるそうです。
そのため、今回のように緊急事態なら仕方ないにしても、計画的に帝王切開を選ぶ場合は 今後の家族計画をパートナーとしっかり話し合っておくこと が大切だと実感しました。
無痛分娩について
無痛分娩に関しては、私は選んで本当に良かったと思っています。
出産のダメージや産後の回復を考えると、選択肢があるなら積極的におすすめしたい方法です。
今の時代、歯を抜くときに麻酔をしない人はいませんよね。わざわざ激しい痛みに耐えることを「美徳」とする必要はないのではないでしょうか。
「痛みに耐えて出産した方が子どもへの愛情が深くなる」という考え方も聞きますが、これは迷信だと感じました。実際、パパは妊娠も陣痛も経験していませんが、深い愛情を持っています。愛情は出産方法ではなく、その後の関わり方で育まれるもの なのだと思います。
出産はゴールではなくスタート
そして、長い時間をかけてようやく終えた出産という大仕事…。
ここからが本当のスタートです。育児という「新らたな戦」のスタートです!


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